刃物あれこれ（第3回）

摘要

前回戦前のステンレス包丁の硬度をご紹介し，錆びるのが恐ろしいので，炭素量の低い鋼材を使ったのだ．と結論めいたことを言ってしまった．しかし戦後，前記エーデルワイスARH8鋼のような高C高Cr鋼が入手でき，我が国の製鋼会社もこぞって，これに一歩でも追い付くように炭素量を上げ，硬度の出せるステンレス鋼を製造するようになった．だがそのことにより，炭素鋼や低Cマルテンサイト系ステンレス鋼では起こり得ないトラブルが幾つか生じたのだ．