連続鋳造の廃熱を利用した鉄鋼スクラップの予熱過程解析

摘要

鉄鋼スクラップの予熱は，スクラップ再利用過程の一環として大きな意味を持っており，再熔解時のエネルギー消費を低減できる。 スクラップは，一般に製鋼用電気炉から排出される1200°C以上の高温ガスによって予熱されており，200～600°Cの範囲で加熱できることが報告されているが，実際には現場操業条件の制限で，200°C以上に加熱することが困難である場合が多い。連続鋳造機から出た鉄鋼鋳片は，凝固応力を解消するため切断機まで移動し，1000°C程度の高い表面温度を持つ鋳片は空冷状態であり，廃熱としてこれらの顕熱が大気中に放出されている。切断機までの水平長さは13～17mであり，鋳片の移送速度は通常l.25～1.5m／minと考えると約10分の時間になり，廃熱は大きい。この廃熱を利用して，スクラップを鋳片と同じ速度で移動させてスクラップを予熱することを考える。連続鋳片の廃熱を利用することによって，電気炉からの高温ガスを使用しただけよりもスクラップをより高温に予熱することができる。