TRIP型マルテンサイト鋼板の伸びフランジ性に及ぼす合金元素添加の影響

摘要

近年，地球温暖化抑制対策を背景とした乗用車の車体軽量化（CO_2排出ガス量の低減）と衝突安全性の向上を目的として，高強度鋼板の開発が盛hに行われている。とくに最近では，1．2GPa～1．5GPa級の超高強度鋼板が開発されつつあり，残留オーステナイト（γR）の変態誘起塑性（TRansfbrmation Induced Plasticity；TRIPl））効果を利用した超高強度TRIP鋼板の適用が進められている。これまでに超高強度鋼板の1つとして，C－Si－Mn系鋼に，①γ域焼鈍後にマルテンサイト変態開始温度（底濁度）以上，またはM_s,湿度とマルテンサイト変態終了温度（M_f温度）の間の温度域で等温変態処理を施し，母相をベイエティックフェライトまたはベイニティツタフェライトとマルテンサイトの混合組織とした超高強度低合金TRIP型ベイニティックフェライト鋼板（TRIP-aided Bainitic Ferrite Steel；TBF鋼），および②M_s湿度以下に急冷した後，M_s温度以止で等温変態処理を施してTBF鋼板と類似の組織としたQ＆P鋼（Quench and Partitioning steel）が開発されてきた。これらのTBF鋼とQ＆P鋼は高強度かつ優れた伸びを有するため，第3世代自動車用超高強度鋼板として期待されている。