医薬·化粧品製造とナノテクノロジー：ナノサイズまでの乳化粒子設計を可能にした新しい撹拌技術

摘要

当社は1949年，国産初の高速回転型撹拌機であるT.K.ホモミクサーの製造より，数多くの乳化ならびに分散操作に携わり，今や5万台を超える納入実績を築いてきた。 最近の傾向として求められる乳化·分散粒子径は，ミクロンサイズからサブミクロン，そしてナノサイズへとより微小粒子化へ移行されつつあり，もちろh医薬品や化粧品においても，同様の傾向がうかがえる。 「必要な時に，必要な量の薬を，必要な所に」送り届けるDDS技術として，薬物を移送する数μmのマイクロカプセルも，今では20～200nmとナノサイズ化され，各種治療薬や診断薬として利用されている。 また，化粧品製造技術においては，100nm以下の乳化粒子により，肌の表面から肌の奥まで浸入し，保湿成分やビタミンなどの美容成分を放出する化粧水などで利用されている。 このようなナノサイズのエマルション調製には，従来とは異なる界面化学的条件（いわゆる処方）と，物理的条件（乳化装置の能力）の組み合わせが重要だが，おおむね従来の高速回転型撹拌機で調製できるものには限界があり，さらに大きな力（エネルギー）を必要としている。 現時点では150～200MPaもの圧力をかける超高圧ホモジナイザーや，ここに紹介する最新の乳化技術，薄膜旋回型高速撹拌方式が用いられている。