化学プラントの安全目標: どこまで安全を求めるか

摘要

日本社会の安全認識は，グローバルな安全の考え方と少しずれている。日本社会は「リスクのないこと」を安全と考えているが，「ISO/IECのガイド51（2014年版）」では「安全は許容不可能なリスク（freedom from risk which is not tolerable）のないこと」と定義し，許容リスクは現在の社会の価値観に基づいて，与えられた条件下で受け入れられるリスクのレベルとされている。すなわち，安全といっても「絶対安全」や「リスクゼロ」とはいっていない。許容可能なリスクとは，ベネフィットを考えて我慢して受け入れるリスクと考えられる。