酵素法による「e-Fuel」の製造技術

摘要

再生可能な植物バイオマスに由来する製品群のうち，バイオエタノール（ガソリンの代替燃料）とバイオディーゼル（軽油の代替燃料）は世界的に生産量が多くインパクトの大きな液体燃料である。これらバイオ燃料の生産には原料が食料と競合するという批判の高まりもあり，バイオマスの可食部を利用する第1世代バイオ燃料から，非可食部を原料として製造する第2世代バイオ燃料への移行を実現するための取り組みが世界中で積極的に進められてきた。一方で，これまでのバイオ燃料の供給段階では化石燃料との混合比率に制限があるため，近年は既存インフラ設備とより親和性の高い次世代バイオ燃料（炭化水素系バイオ燃料）分野においても国家の技術戦略が策定されている。ただし，現状の次世代バイオ燃料は多種多様な製造方法が研究開発されている状況で商用化段階にはなく，経済性にも大きな課題を残している。本稿では，油糧バイオマスからバイオディーゼルを生産する環境調和型「e-Fuel」製造技術の特徴を概説し，その新しい用途展開として世界的に油生産量が増加しているオイルパーム·プランテーションを対象とした検証事例を紹介する。