金属に対する偏光理論を利用した赤外線サーモグラフィ試験における背景反射の除去

摘要

本研究は偏光理論について着目した。釣りやドライブ等で水面や地面からの反射可視光を抑えるために偏光子が使われている。これは，反射光が反射角度に基づいて偏光しており，偏光子を通すことで一部の反射光を低減できるからである。赤外線は，可視光線の赤色より波長が長い電磁波であり，光の性質を持っている。そのため偏光理論を使用した背景反射の低減などが提案されている。著者らは以前の研究で，絶縁物の偏光理論を利用して絶縁物に対する背景反射の除去を行った。本稿では金属の偏光理論を利用することで，従来の赤外線サーモグラフィ法では背景反射の影響を受けやすい金属を対象とした。まず，偏光子付赤外線サーモグラフィ装置を用いて偏光反射率と偏光放射率を測定した。そして，きず指示と背景反射が重なっていた場合でも，きずを判断できるよう，金属に対する偏光理論を応用した背景反射ときず指示の定量的分離手法を構築し，赤外線サーモグラフィ法の問題を解決した。