J-PARCのパルス中性子イメージング専用装置「螺鈿」の開発

摘要

本稿ではJ-PARCのMLFに建設されたエネルギー分析型中性子イメージング装置「螺鈿」の概要について述べてきた。はじめに述べた通り，「螺鈿」は平成26年11月に初ビームを受け入れ（図4），その後，性能評価のためのコミッショニングを行いながら，平成27年度よりユーザ共用を部分的に開始している。建設完了後には，J-PARCセンターのメンバーに加えて，CROSSのメンバーが合流し，ユーザ支援の体制も充実してきており，これからは多くのユーザに利用していただけるようになると思われる。また，世界最初のパルス中性子イメージング専用装置として世界からも注目されており，外国人ユーザによる利用もすでに始まっている。利用研究だけでなく，装置自体の高度化，新しいイメージング技術開発の取り組みも継続中であり，パルス中性子を用いた位相イメージングやブラッグエッジ·偏極中性子トモグラフィ，共鳴吸収による温度分布の可視化は，今後の中性子イメージングの発展にも大きく貢献すると考えている。今後の「螺鈿」を利用した応用研究の展開に期待していただきたい。