鋳物粉砕による溶射材料の開発

摘要

鋳物切粉のリサイクルを確立するために，球状黒鉛鋳鉄ぎCD450の切粉を粉砕して製作した鋳物粉末の溶射材料としての有効性を検討した。 すなわち,FCD450の切粉を機械的粉砕方法で粉末にした鋳物粉末の形状的特徴を観察し，その含有炭素量を測定した。 さらに，この鋳物粉末によるガスフレーム溶射皮膜の，JIS H8664に基づく，基材/皮膜界面の密着強度評価を行った。得られた結論は以下のとおりである。 機械的粉砕方法で粉砕した鋳物粉末を，JISZ8801に基づく標準ふるいを用いて振るい分けした。ふるいの網目寸法で粉末粒径を定義した場合，粉末粒径によって粒度分布範囲に差があり，粉末粒径が32μm程度の場合粒度分布範囲は最も広く，粉末粒径が大きくなると粒度分布範囲は狭くなっていた。粉末粒径106μmおよび150μmの場合，市販の鉄系統の溶射材料の粒度分布に類似していた。 また，鋳物粉末の形状は，粒が小さいほど細長くて扁平であり，粒が大きくなると広幅になっていた。鋳物粉末の含有炭素量は，粉末粒径32μmの粉末では，基材の炭素量の約3倍であり，粉末粒径が大きくなるほど含有炭素量は少なくなっていた。 また，粉末粒径150μmの粉末ではFCD450基材よりわずかに少なかった。