間欠性陰茎勃起に対する鍼治療の1症例 馬尾症状を呈する患者の医療面接の重要性について

摘要

【目的】腰部脊柱管狭窄症（Lumbar Spinal Stenosis:以下LSS)の間欠跛行と間欠性陰 茎勃起（Intermittent Priapism:以下IP)が鍼治療により改善し、医療面接の重要性につ いても興味深い知見が得られたので報告する。【症例】65歳男性。主訴：両側腰痛、両殿部?大腿後面?下腿後面?足底の痺れ。現病 歴：X-5年、腰痛を自覚。X-3年、両殿部?大腿後面にかけての痺れを自覚。当院整形 外科を受診しLSSと診断。その後瘅れは増悪し、間欠跛行、会陰部の違和感、間欠性尿 失禁を伴う。専門医より手術を勧められるも、本人の希望により当科受診。理学所見： 膝蓋腱反射（+/+)、アキレス腱反射（±/-)、感覚?筋力は正常。L4?5棘突起、L4/5?L5 /S1外方1.5cmに圧痛。大殿筋、中殿筋およびハムストリングスに圧痛、筋緊張。初診時： L4/5椎間関節相当部位、L5/S1椎間関節相当部位、中殿筋、大殿筋、委中、陽陵泉に置 鍼10分間。2診目以降:L4/5椎間関節相当部位-L5/S1椎間関節相当部位、大殿筋-委中で の鍼通電療法1Hz10分間。【経過】IPは4診目で改善。日本整形外科学会腰痛評価質問票:疼痛関連障害71->100-> 100 (点)、腰椎機能障害83->100->100 (点）、歩行機能障害64->100->100 (点）、社会生 活障害38->78->78 (点）心理的障害45->66->75 (点）。腰痛81->6->1(mm）、殿部?下肢 痛82->6->1(mm)、殿部?下肢の痺れ97->16->1(mm）。チューリッヒ跛行質問票：重症度 27->18->13 (点)、身体機能15->10->7 (点)、満足度18->8->8 (点)。【考察?結語】鍼治療は、間欠跛行のみならずIPに対しても有効である可能性が示唆 された。また、IPは患者自身がLSSの症状と認識していないことから、馬尾症状を呈す る患者に対する医療面接は極めて重要であることが示唆された。