第4回 情報材の製品開法

摘要

ヘンリー·フォードが1908年に発売した「T型フォード」で大成功を収めて以来，20世紀は「モノ」を大量生産·大量販売することで企業の経営効率を高める時代であったといえるでしょう。 しかし，20世紀末から「モノ」によらずに，ソフトウェアなど知識や情報そのものを顧客に届けて付加価値を得る商品が登場するようになりました。これは従来型のビジネスモデルを根底から覆す変化です。今回はソフトウェア産業を中心に，形のない知識や情報を商品とする情報材の製品開発について考えてみましょう。 1980年代から脚光を浴びるようになったソフトウェア産業の代表的な事業を，分野·販路によって分類してみましょう。 たとえば，米国の得意とするパソコン用ソフトウェアはOS（基本ソフトウェア）とアプリケーションソフトウェアなどに分かれます。 テレビゲーム用ソフトウェアは日本の得意とする産業であり，これも業務用（アーケードゲーム）と家庭用に分かれます。 音楽ソフトウェアはCD，音楽カセットなど音声信号を記録再生するものです。 同様にビデオソフトウェアは，映画などのテープ，DVDなどを指します。 このほかには，テレビ，ラジオ，CATV，BSなどの放送事業，書籍，雑誌，CD-ROMなどの出版事業が代表的なものです。 アナログ技術中心の時代には，これらの事業は互いに遠く離れた存在でしたが，1980年代以降のデジタル技術の進歩により，技術的なシナジーの発揮される部分が増えてきました。