循環式乾燥機を利用した飼料用米の高温熱風による効率的乾燥に関する研究の概要

摘要

平成27年3月に閣議決定された食料·農業·農村基本計画では，飼料価格の安定と休耕田利活用のために，10年後の飼料用米の目標生産量を110万t（飼料自給率の40%）に設定し飼料用米の生産拡大を図る政策を打ち出した。この目標を達成し，飼料用米の安定的な供給と利用を促進するには，低価格で長期的，計画的な供給の取組が必要である。そのため飼料用米の生産費を削減する様々な取組が行われている。乾燥工程においては立毛乾燥が推奨されているが，天候変化による仕上がり水分の不安定性や品質を維持したままの広域流通等を考慮すると，やはり食用米と同じ乾燥工程を経ているケースが多い現状がある。飼料用米の取引価格は低く，食用米と同じ乾燥工程では，取引価格に対して乾燥調製費の割合が大きくなってしまうことが課題となっている。飼料用米は食用米のような品質は求められていないことから高温で効率的に乾燥する研究が行われている。あわせて，一般的に普及している循環式乾燥機の利用を前提とした飼料用米の低コスト乾燥技術が確立すれば，機械経費の抑制や既存設備の有効利用も可能となり，有望な解決手段となりうる。