スマートフォンやウェアラブルセンサを用いた農作業事故対策

摘要

平成28年に発生した農作業死亡事故の概要（農林水産省，2018）によると，2016年1月から12月までの農作業中の死亡事故件数は312件であった。ここで，転倒·転落死亡事故，熱中症による死亡事故，その他という分類で事故件数を見てみると，農業機械の転倒·転落による死亡事故件数が92件，作業者自身が転落したことによる死亡事故件数が55件で，農作業中の転倒·転落死亡事故件数は147件となり，全体の約半分を占めている。また農作業中の熱中症による死亡事故件数は2012～2016年までの5年間の平均で22件と，転倒·転落，挟まれに次ぐ死亡事故件数となっている。以上のようなことから，特に転倒·転落死亡事故や熱中症死亡事故削減に向けた取組が，農作業中の死亡事故件数の削減に寄与できると考える。そこで本報告では，事故発生時の早期発見や事故の未然防止につながると考え取り組hできた農作業事故対策（手島，2017a；手島，2017b）について紹介する。