日本のアルミニウム産業の現状と動向

摘要

アルミニウム［Al，原子番号13，Aluminium（英），Aluminum（米）, 鋁（中国）］が実用材料として用いられるようになったのは，弗化物溶融塩電解法であるHall-Heroult法の発明（1886年）と湿式アルカリによるアルミナ抽出法であるBayer法の発明（1888年）以来のことである。 アルミニウムは，金属材料として資源に恵まれていること（地殻中の元素として存在度：8.13％），性質として，軽量であること（比重：2.7）熱と電気の伝導性に優れること，耐食性や展延性に優れること，さらにはリサイクル性がよいこと等々により，大きく需要を伸ばしてきた。 昨年（2001年），世界で生産されたアルミニウムは，製錬（新地金）ベースで24,500千トンに達している。 また，最近の我が国のアルミニウム総製品出荷量は，約4,000千トンに達している。 アルミニウムは，実用されて100年余を経て，汎用金属材料として鉄鋼に次ぐ第2の地位を占めるに至っている。 日本のアルミニウム産業の発展の経過の概要を表1に示す。