三次元有限要素法を用いたポストコア装着歯における応力解析 歯根部残存歯質量および支台築造法が歯根部歯質の応力分布に及ぼす影響について

摘要

歯根部残存歯質量および支台築造法が歯根部残存歯質に及ほす影響についてエポキシ樹脂模型歯を解析モデルとして用い,三次元有限要素法による応力解析を行い,以下の結論を得た.1.歯根部歯質に生じる最大引張応力値および最大せh断応力値はいずれにおいても,ポスト孔の幅径を歯根幅径1/5に設定した場合,メタルがファイバーに比較して小さな値を示したが,歯根幅径1/2に設定した場合でほ,メタルがファイバーに比較して大きな値を示した.2.最大応力発現部位は,最大引張応力においてポスト孔の幅径を歯根幅径1/2に設定したメタルでポスト先端部に生じていたが,他の設定条件では歯頸部隣接面に認められた.これに対して,最大せh断応力は歯根部残存歯質量にかかわらず,メタルでポスト先端部,ファイバーで歯頸部隣接面に認められた.3.破折強度試験における歯根の破折様相と最大応力発現部位がほぼ一致していた.以上のことから,歯根部歯質残存歯質量および支台築造法は歯根部残存歯質の応力分布に影響を及ぼすとともに,歯根部象牙質に近似した弾性係数を有するファイバーによる支台築造法ほメタルと比較して,歯根部残存歯質量の少ない場合において,最大応力発現部位を歯冠側方向へ変位させる可能性が示唆された.