明海大学病院歯周病科における過去5年間のインプラント治療の実態調査

摘要

要旨：骨結合型インプラントの臨床応用開始から約40年，数多くの研究者と臨床家により，デンタル·インプラントの実用化が進められてきた．その結果，インプラントは従来の固定性ブリッジ同様に予知性の高い治療手段であるという報告もある．歯周疾患患者に対するインプラント治療は，￣健常者に対する場合よりも，意義性が高いと同時にリスクも高いことが示唆されており，長期的な生存率や成功率について，国内では詳細な報告はない．本研究の目的は，明海大学歯学部付属明海大学病院歯周病科における，過去5年間（1999年から2004年）のインプラント治療の予後調査である．被験者は，歯周疾患患者179名（232症例）で，年齢は15歳から76歳，男性28．1％，女性71．9％であった．塩入したインプラントは1症例につき平均2．06本であり，平均長は12．5mmであった．76症例（32．7％）が骨増大を併用した．調査期間中，3本が脱落し，累積生存率は99．4％であった．調査結果より，歯周疾患雁恩既往のある患者のインプラント生存率は，歯周組織の健康な被験者同様に高いことが示された．