非溶血性輸血副作用発生時の患者の血中補体濃度の検討

摘要

非溶血性輸血副作用発生時の患者の血清補体C4値およびC3値の変化を観察して，補体系の活性化の有無を検討した.血清トリプタ一ゼ値の変化も併せて観察して，補体値の変化とマスト細胞の脱顆粒の関連を検討した.Anaphylactic shock, Anaphylactoid reaction, Urticaria等の症状を呈した患者群では，副作用発生前後での血清C4値およびC3値の有意な減少が認められた.これらの患者では，副作用発生時に，古典的経路を介した補体系の活性化が推察された.一方，Anaphylactic shock等の症状を呈した患者群では，血清トリプタ一ゼ値の増加も認められ，マスト細胞の活性化も示唆された.しかしながら，トリプタ一ゼ値の増加と補体値の減少との間に相関関係は認められなかった.非溶血性輸血副作用発生には，複数の異なる作用機序が関与する可能性が示唆された.