鼻骨変形治癒骨折に対する骨切り術を中心とした修正術

摘要

鼻骨骨折は簡単な外傷という認識がある一方，結果に不満足な患者は少なくない。早期に修正しなければ変形を残し患者のQOLは障害される。我々は地域の講演活動などで変治骨折治療を 紹介し2年間で16例の修正術を経験した。患者の内訳は，男性11例，女性5例（年齢10～60歳)。変形は，斜鼻7例，鞍鼻9例であった。 受傷原因は転落5例，交通事故?スポーツ各4例，喧嘩3例であった。術式は，骨切り5例，観血 整復2例，再骨折整復2例，鼻骨?外側鼻軟骨脱臼整復固定3例，骨削除4例で，16例中3例に耳 介軟骨移植を併用した。内固定には我々の考案したNasal Bone-Clipを用いた。結果は患者全例に満足が得られた。鼻骨骨折の治療成績が悪い原因は第1に初期治療の問題。 全身状態に問題なければ若手医師に任されることが多く経験不足である点。第2に患者側の要 因。若く多忙な患者は経過観察に来院しなくなりやすい。変形治癒を残さないために初療の重要 性は言うまでもない。