民間専門病院における外科診療 甲状腺疾患専門病院の取り組み

摘要

当院は昭和12年創立の民間専門病院である．始まりは甲状腺外科医であった伊藤尹が自ら手術をし，術後管理を行うところの有床診療所であった．2年後には病院となり，昭和34年に伊藤國彦が，平成10年に筆者が院長職を引き継いでいる．血縁で3代続く個人病院であり，一貫して甲状腺疾患診療を主力としてきた結果，全ての患者が甲状腺に問題を持ち来院するまでに至った．　 とは言え，「専門病院」の明確な基準は存在せず，医療法上「甲状腺疾患専門病院」と標榜することも出来ない．そこで院内随所に明解な理念（図1）を掲げ，発信している．　 我々が心がけていることは以下の3点につきる．①甲状腺疾患の診療に専門特化する（守備範囲と適正規模の徹底）．②学術的研鑽に努める（学問的好奇心を具体化）．④民間病院である利点を活かす（フレキシビリティに富むこと）．