放電形プラズマ中性子源に関する研究（慣性静電閉じ込め核融合中性子源）

摘要

私たちの電気工学科粒子エネルギー研究室には核融合を利用した実験装置がある。 そして実際に核融合による中性子発生を計測している。 こう書くとひどく驚かれる方が多いと思われる。 一般に、核融合とは、何十億～何百億円という莫大な予算が必要な研究で、超高温超高圧が必要で、実用化にはあと数十年ちかくかかると考えられているからである。 たしかに、「熱」核融合という分野ではそのようにいわれているが、核融合にもいろいろな種類があって、比較的圧力が低くまたそれほど温度が高くない条件下であってもゆるやかに核融合を起こさせることができる。 私たちがあつかっている装置で用いる核融合は、慣性静電閉じ込め（IEC）核融合と呼ばれている。 ごく簡便な装置を用いて静電的な力によってイオンを閉じ込めることによって衝突させ核融合をおこし中性子を発生させている。 この中性子は、水素などの軽い元素と反応するため水素基を多くふくむ石油、火薬、水などの検出が可能である。また中性子を利用して陽電子を生成する目的につかわれることもあり、多岐の分野にわたって応用が期待されている。