変わりゆく筋層非浸潤性膀胱癌の 診断と治療

摘要

筋層非浸潤性膀胱癌（non-muscle invasive bladder cancer ： NMIBC)の治療 学は，総論に続き，膀胱癌診療ガイドライン2015年版（以下，2015年版）では CQ7~18の12個，膀胱癌診療ガイドライン2019年版（以下，2019年版）で はCQ3~10の8個で解説されている（表1),2015年版CQ8は日常診療で通 常に実施されていることとして，2019年版では総論で簡潔に取り上げられ，CQ10 は「膀胱癌の経過観察」の項へ移された.CQ7は，新たな膀胱腫瘍可視化技術であ るphotodynamic diagnosis (PDD)やnarrow band imaging (NBI)の導入に より重要性が乏しくなり，今回は触れられていない.CQ11については2019年版 では類似したCQは設定されていないが，CQ4の解説文において「2019 EAUガ ィドラインでは，膀胱鏡で明らかな病変を認めない尿細胞診陽性の症例や非乳頭状腫 瘍のような高リスク症例において，ランダム生検にかわりPDD補助下夕ーゲット生 検を推奨している（推奨グレード：B)」と記載がある.このように4年間で膀胱癌 の診断?治療は大きな変化を遂げ，それに呼応するようにCQが見直され，2019年 版では日常診療の方針決定に議論がある事項を中心にCQが設定された.