総胆管結石に対するステント長期留置法 適応に問題がある例,切石自体が望ましくない例の対処法

摘要

総胆管結石は高齢者に多いことが特徴であるが,高齢者には他疾患併存や寝たきりなどの問題が存在する。 内視鏡的結石除去困難例は,一般的には総胆管切開切石+Tチューブ留置術などの開腹外科手術の対象となる。 しかし,その侵襲性や臥床期間の長期化は高齢者にとって非常な不利益であり,結石除去に固執することはQOLから得策とはならない。 われわれは胆管結石除去困難例に対して, EBDによるドレナージ効果が良好な例には,家族にも十分相談の上,長期留置による経過観察を施行している。 ステント長期留置法は,侵襲も少なく,特別な設備の必要もなく,また除去困難であった結石が経過観察中に縮小あるいは消失する例もある。 出血傾向例には, non EST-EBDも有効である。一方胆管炎などを繰り返す例では,手術の適応を慎重に判断した上で外科手術も考慮すべきである。 また,胆管屈曲·狭窄例では悪性疾患の存在の可能性を念頭に置いた経過観察が必要である。