十二指腸乳頭部癌の早期診断における内視鏡的乳頭切除術の意義

摘要

著者らは1993年以降早期乳頭部癌に対するIDUSによる診断体系の確立とともに,内視鏡的治療の確立をめざして取り組hできた。 本稿では自験例67例(男女比45:22,平均年齢66.8歳)の切除成績を示して,十二指腸乳頭部癌の早期診断における内視鏡的乳頭切除術の意義について言及する。 まず早期合併症および後期合併症の検討から安全な術式であることを確認し,診断的意義を論じるに値する術式であることを評価した。次に術前の生検病理診断と内視鏡的切除術後の最終病理診断の比較検討から,その一致率は86.6% (58/67)で13.4% (9/67)の例で診断が異なっていた。 特に術前の過小評価例9.0% (6/67)において本術式の診断的意義は大きく評価されると考えられた。内視鏡的乳頭切除術は前癌病変や早期癌の治療法として位置づけるべきであるが,そこには当然,診断的意義も有しているものと考えられる。