再生膵島細胞を用いたバイオ人工膵 膵島(β細胞)の再生医学とその臨床応用の可能性

摘要

膵移植や膵島細胞移植は糖尿病罹患患者の治療法として有効な再生医療の一つと考えられる。 近年, Edmonton Protocolの実施により,膵島移植による効果的なインスリン離脱が報告されたが,深刻なドナー不足や免疫抑制剤長期使用などの問題から多くの患者に質の高い医療を提供できるに至っていない。 これら問題の解決に関し,高分子(免疫隔離)膜技術,効果的な移植手法の開発,膵島細胞分離技術や膵島細胞分化·誘導技術を研究し,これらを組み合わせた"バイオ人工膵"移植システムを用いた根本的な糖尿病治療の開発と臨床応用を進めることが注目を集めている。 特に,組み込まれる再生膵島細胞として,ヒト細胞や代替ドナーソースであるブタ細胞はもとより,幹細胞や胚性幹(ES)細胞から分化誘導させた再生膵島細胞の応用研究が着目されている。これらバイオ人工膵の現状と用いられるバイオリアクター細胞について簡単に概略を紹介する。