原発性硬化性胆管炎の予後予測因子としての経過中血清ALP値

摘要

原発性硬化性胆管炎（PSC)に対して有効性が証明された薬剤は存在せず，今後新規薬 剤を開発することは急務である。その一方，PSCに対する治験を行うにあたり，適切なサロ ゲートェンドボイン卜を設定することが必要不可欠であり，欧米では診断1年後の血清ALP 値と長期予後との有意な関連が示され，血清ALP値がサロゲ一卜ェンドポイントとして有用 であるとするェビデンスが集積されつつある。今回われわれは，本邦のPSCレジス卜リデータ を用いて，本邦における血清ALP値と長期予後との関連を検討した。121例を対象とした検討 の結果（平均観察期間5.8±5.8年）診断時アルブミン値（3.5g/dL以上）と，経過中ALP値 (基準値上限1.5倍未満）が移植なし生存に独立して関与する因子として同定された。以上よ り，PSCの経過中ALP値は本邦においても長期予後と関連があり，臨床試験においてサロゲ一 卜ェンドボイン卜として使用できる可能性が示された。