十二指腸に穿孔し腹腔内膿瘍を形成した多発性膵仮性嚢胞の1例

摘要

66歳,男性,大酒家。 1998年6月29日よリ上腹部痛,発熱あリ。7月3日当科受診し入院。 入院時上腹部に強い圧痛あリ。 入院時検査でWBC, CRP,膵酵素,肝胆道系酵素上昇。 腹部CTで膵周囲にcystic lesionが多数あリ。 内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)で主膵管は膵頭部のみ造影された。 慢性膵炎および膵仮性嚢胞の嚢胞感染と考え,保存的に治療。 7月10日CTで膵周囲のcysticlesion消失,肝門部に内部にガス像を伴う腫瘤あリ,網嚢内および膵背側にもガス像あリ。消化管との穿通,膿瘍形成と考え経皮経肝的膿瘍ドレナ-ジ(PTAD)施行。 PTAD造影で十二指腸球部との交通を確認.本症例埠,多発性の膵仮性嚢胞の一部が十二指腸に穿孔し瘻孔を形成。 その後嚢胞内容の排出,肝門部の膿瘍形成へと進展。 瘻孔のドレナージ効果によって炎症が治まリ救命し得たものと考えられた。