自然史からみた膵管内乳頭粘液性腫瘍（IPMN)の手術適応の再検討一術後成績および長期経過観察例の臨床経過から

摘要

要約：【目的】IPMNの術後成績と自然史から手術適応を再検討した。【対象と方法】1.IPMN 切除89例を対象として，国際診療ガイドラインと当院が提唱する手術適応，主膵管径10 mm以上，または②壁在結節5 mm以上，とで癌の診断能を比較した。2. 3年以上経過観察した65例の臨床経過を検討した。【結果】1.腺腫，非浸潤癌の予後は良好であつたが，浸潤癌の術後5年生存率は38%であった。癌では腺腫に比し主膵管型が多く，主膵管径および壁在結節径が有意に大きかった。ガイドライン手術適応の癌の正診率は感度97.6%,特異度25.0%,正診率58.4%で，当科の手術適応では各々95.1%, 54.2%, 73.0%であった。2. 65例中11例が手術となった。癌と判明した5例は他の60例に比し主膵管径，結節径が有意に大きかった。経過観察例での当院手術適応の癌の正診率は感度100%，特異度85.2%，正診率86.2%であった。【まとめ】癌を手術適応とすると，経過観察例を含めて当院の手術適応は妥当である。