1コンパートメントモデルに基づく~(99m)Tc-MAGS血漿クリアランス算出法(MFC法)の移植腎への応用

摘要

1コンパートメントモデルに基づき~(99m)Tc-MAG3血漿クリアランス(CLmag)を算出するMPC法を移植腎に応用し,特にその算出結果に影響を及ぼす腎の深さを種々変更して検討を加えた.実測した腎の深さで補正した腎摂取率を用いるとMPC法とRussellあるいはBubeck一点採血法とのCLmagの相関はそれぞれr=0.852あるいは0.876といずれも良好であり,特に前者の方がy=1.044x-3.0とよりy=x(1対1の関係)に近かった.腹部前後径より推定した腎深さ推定値を用いたMPC法とRussell法あるいはBubeck法とのCLmagの相関もそれぞれr-0.859,r=0.887であり,上記と同様の関係であった.腎の深さを4cmと固定して算出した場合,実測した腎の深さを用いた場合と比べ平均14.8%,最大46.8%の誤差を生じるが,この場合のRussell法との相関はr=0.884,回帰式y=1-004x-10.2とy=xに近い良好な相関が見られた.結論としてMPC法は移植腎機能評価に応用が可能であり,その際に腎の深さは実測値を用いるのが好ましいが,4 cmの固定値を用いても実用上の精度が十分確保できると考えられる.