ニューキノロン系抗菌剤と非ステロイド性消炎鎮痛剤の同時服用を契機にたこつぼ型心筋障害を発症した超高齢者の1例

摘要

患者は胸痛を主訴とした97歳の女性で，ニューキノロン系の抗菌薬のLevonoxacinと非ステロイド抗炎症薬のLoxoprofenを同時服用したところ全身性の痙攣を生じ，その後，胸痛が出現した．心電図では，II,III,aVF誘導でST部分の上易，V1－V4誘導で陰性丁波が認められた．冠動脈造影では左右冠動脈ともに有意狭窄病変は認められなかったが，両心室造影では心基部の過収縮および心尖部の風船様無収縮が認められたため，たこつぼ型心筋障害と診断した．第10病日の~(18)F－FDG－PETでは風船様無収縮が認められた心尖部に高度な集積低下所見が認められた．第19病日の左室造影では壁運動障害は改善し，第20病日の~(201)T1心筋SPECTでは集積低下所見は認められなかった．しかし，第23病日の~(123)I－BMIPP心筋SPECTでは風船様舞収縮が認められた領域で高度な集積低下所見が認められた．たこつぼ型心筋障害の原因として，微小循環障害が示唆された．