画像再構成と計算機支援診断の統合化手法の開発

摘要

核医学技術の進歩を画像再構成の観点から振り返ると，逐次近似再構成法の実用化を機に，画像再構成の数学的な枠組みはフーリェ解析に基づく解析的手法から観測デ一タの確率モデルに基づく統計的手法へと大きくシフトした.近年では，散乱·吸収といった光子の挙動や検出器の空間分解能，さらには撮影中の患者の動きといった様々の画質劣化要因が再構成計算の内部で補正されている.これは装置の物理性能がそのような細かい補正を必要とするレベルに達していることを意味する.逆に言えば，そのような高性能装置と従来の逐次近似再構成法の組合せがもたらす画質改善の効果も上げ止まりつつあるといえる.これに対し， 最尤推定に基づく再構成法の開発と並行して，薬剤分布に関する先験情報や同一患者のCT/MR画像を画像再構成に利用するべィズ手法が研究されてきた.