内視鏡的肉眼形態と病理組織学的所見からみたO-IIa型食道表在癌の 発育進展に関する臨床病理学的検討

摘要

O-IIa型食道表在癌の内視鏡所見と病理所見を対比し，肉眼形態と癌胞 巣の浸潤について相互の関連性を検討した.また，O-IIa型食道癌の臨床病理 学的特徴からその病態と発育進展形式について考察した.O-IIb, O-IIc型を随 伴するO-IIa混合型が高頻度であった.基底層型上皮内癌から粘膜上皮全層置 換型のO-IIb型またはO-IIc型を介し，癌胞巣の一部がup-ward growthを示し 分化勾配と角化傾向を伴って肥厚性上方発育をとり，O-IIa混合型に発育進展 して粘膜固有層以深に浸潤する形式が考えられた.また，O-IIa単独型は少な く， de novo発癌形式と考えられる.白色顆粒状隆起および白色扁平低隆起は' 深達度T1a-LPMを示しており，白色調0-Ila病巣は粘膜癌の代表的病型と考 えられる.一方，基部にくびれを有する赤色小結節状隆起の深達度はT1a-LPM からSMI程度で，基部が裾を引く赤色結節状O-IIa隆起は粘膜下層癌を示した.