転移性肺石灰化症の1例

摘要

症例は46歳男性。 2005年8月に高カルシウム血症（20m9/dl）による意識障害のために緊急入院となった。 末梢血に異型細胞を認め，HTLV-Ⅰ抗体陽性で，プロウイルスDNAのモノクローナルな組込みを認めたため，成人T細胞白血病（以下ATL）と診断した。 高カルシウム血症の治療を行いながら，並行して化学療法を開始した。 化学療法に一時反応し，末梢血中の異型細胞の減少や高カルシウム血症の改善は認めるものの，すぐに再発という潅遇を繰り返していた。 それとは別に肺のびまh性問質性陰影は進行し，最終的には呼吸不全で死亡した。 剖検で，肺胞壁と血管内にカルシウムの沈着を認め転移性肺石灰化症と診断された。 ATLは経過中にさまざまな肺病変を合併するが，びまh性陰影を呈した場合，その原因の一つに転移性肺石灰化症を考える必要があると思われた。