外傷により発生した複合性局所痺痛症候群（CRPS）に対しエルカトニンとワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液を併用投与し，有効であった1症例

摘要

複合性局所痺痛症候群（以下CRPS）は，放置しておくと患肢廃用を招く場合もあるので早期診断，早期治療が重要な疾患と言える。 また主な治療法として理学療法，薬物療法，神経ブロック，手術等があるが，理学療法を円滑に進める際にも痛みのコントロールが重要となってくる。 中枢性の関与が示唆される本疾患の場合，神経因性の鎮痛効果が期待されているワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液（ノイロトロビン錠）等を投与するケースが多いが，現行では確立した薬物治療が見当たらない。 今回，外傷により発生したCRPSに対しワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液に加え，骨租怒症の痺痛薇和に適応を有するエルカトニン（エルシトニン注20S）を併用投与することにより痛みが改善し，ADLが向上した症例を経験したので報告する。