広岡式性格病態分類による双極性障害とco morbidityの臨床研究－3 双極性障害と複合不安障害とのco morbidityの症例研究

摘要

1）広岡式性格病態分類により，双極性障害55例，単極性躁病2例，解離性同一性障害1例を分類し，双極性障害とそのcomorbidityの病態を明らかにする。 2）Atype（気分易変性－，社会性＋）の双極性障害と各種不安障害（パニック障害，強迫性障害，社会恐怖，それらの複合不安障害）のcomorbidityは比較的低頻度であるのに対して，Btype（気分易変性＋，社会性－）の双極性障害と各種不安障害のcomorbidityは高頻度である。 また双極性障害の各typeのinactive subtypeは，co morbidityの頻度が高い。 3）双極性障害患者は他の精神疾患に比べて，過敏性大腸炎，神経性吐気が多く，特にパニック障害を合併する場合はそれらの頻度が高まる。 4）単極性躁病の2例は内省する力が弱く，悲観的に考えないために，操からうつ状態に移行しないと考えられ，元来activeである。 5）解離性同一性障害とinactive subtypeの双極性障害は，抑圧された自己から抑圧されない自己に代わる点で共通している。 6）双極性障害と各種不安障害やそれらの複合不安障害とのmultiple comorbidityは，頻度，病態，難治性，治療内容が，気分易変性，社会性，積極性の有無により大きく変わることから，双極性障害の臨床現場では広岡式性格病態分類が有効である。