背部壊死性筋膜炎後の広範囲な皮膚欠損部に対しトラフェルミンが有効であった1例

摘要

壊死性筋膜炎（Fournier's gangrene）は，時に重篤な症状を呈し死亡率も高く，たとえ救命しても大きな皮膚欠損を残す場合が多い。筆者らは救命できた背部壊死性筋膜炎症例の皮膚欠損部に対し，トラフェルミンを使用し有効であった症例を経験したので報告する。症例は86歳の女性で，仙骨の褥瘡部に感染が加わりblack spotを宣し，時間の経過とともに壊死性筋膜炎に発達した。 先行性体位ドレナージにより救命し，壊死除去後の広範囲な皮膚欠損部に対しトラフェルミンを連日散布し，使用後約14週間にて70％の上皮化を認めた。