肝硬変患者における血漿アルブミンのレドックス状態の変化と分岐鎖ァミノ酸配合顆粒投与の影響

摘要

肝硬変患者は，低アルブミン血症になっていることが知られているが，本研究ではァ ルブミンのレドックス（酸化/還元バランス）状態の評価を行った。その結果，肝硬変 患者では，腹水なし，軽度，中等度の順でアルブミン濃度が有意に低くなつていたが， 還元型アルブミンの比率も同様に有意に低率であり，酸化ストレスを受けている患者が 多いと考えられた。浮腫に関しても同様の結果であった。一方，分岐鎖ァミノ酸配合顆粒は，肝硬変患者の低アルブミン血症を改善すること (アルブミン濃度の上昇）が知られているが，投与開始時の還元型アルブミン比が低下(65%以下）'している患者においては，分岐鎖アミノ酸投与により還元型アルブミンの 比率が有意に高くなり，酸ィ匕ストレスを軽減していると考えられた。また，分岐鎖アミ ノ酸は肝硬変患者の腹水，浮腫および自覚症状（全身倦怠感，易疲労感，こむら返り 等）を改善した。還元型アルブミン比が低下しており，なおかつ分岐鎖アミノ酸投与後 にアルブミン濃度が上昇しなかった患者においても，腹水，浮腫および自覚症状が改 善?非発現の症例では還元型アルブミン比率が有意に上昇していた。症状不変?悪化群 ではそのような有意な変化は認められなかった。以上のことから，肝硬変患者における：分岐鎖アミノ酸投与では，アルブミン濃度をモ 二ターすることも直要であるが，アルブミンの質〈還元型アルブミンの比率）をモニ ターすることも重要であると考えられた。