気分障害におけるフルボキサミンの有効例，比較的有効例，無効例分類と効果の予測 早期セロトニン症候群の概念とそれを阻止する方法

摘要

212の症例について，フルボキサミン（SSRI）の有効性を分析した結果，次の3群に分けられることがわかった。 第一群：フルボキサミンが非常に有効な群（三環系，四環系抗うつ薬治療抵抗性群）；過眠を伴う以下の疾患一大うつ病，気分変調症，非定型うつ病。 第二群：比較的有効な群；過眠を伴わない境界性人格障害（以下BPD），強迫性障害（以下OCD）。 第三群：ほとhど無効ないし悪化群；過眠を伴わない以下の疾患一大うつ病，気分変調症，双極性障害，気分循環症。 フルボキサミンの服薬早期の有害作用を「早期セロトニン症候群」とし，注意を促す必要があるが，CytochromeP450阻害作用を受けにくい併用薬に変更し，有効疾患群に投与した場合には，「早期セロトニン症候群」はほとhどなく，特に「過眠」はほとhどみられない。 うつ病性障害に対する効果は，フルボキサミンの投与後2日以内に，強い眠気と覚醒作用により予測できる。 強い眠気がある場合はほとhど無効であり，覚醒作用があるときには即効的である。フルボキサミンの抗うつ効果は2つの経路が考えられ，第一群においては直接効果であり，第二群においては，悲観的強迫思考の媛和による神経衰弱回復の結果による間接効果である。