軽度および中等度アルッハィマー型認知症患者におけるリバスチグミンの記憶障害に及ぼす影響

摘要

軽度および中等度アルツハイマー型認知症（AD)患者におけるリバスチグミンの認知機 能に対する効果について，Mini-Mental State Examination (MMSE)を用いて検討した。解析対象は基本的にリバスチグミンの維持用量である18mg/日まで増量可能であった29 例で，平均投与期間は17.5週間であった。投与開始時および投与後の平均MMSE総スコア はそれぞれ19.8点および21.0点であり，投与前後で有意な差が認められた（p<0.05， Wilcoxonの符号順位検定)。また，MMSEの下位項目別では「物品名の想起（遅延再生）」 のスコアが投与開始時に比べて投与後で有意な改善がみられ，投与開始時の認知機能が中 等度（MMSEく20点）であった群（n=9)においては，「場所の見当識」のスコアが投与 開始時に比べて投与後で有意な改善が認められた。「物品名の想起（遅延再生）」および 「場所の見当識」はともに記憶に分類される項目であることから，リバスチグミンは軽度お よび中等度AD患者の記憶障害に有効であることが示唆された。