汎発性腹膜炎の手術後に併発した深在性真菌症に対してミカフアンギンが著効した症例

摘要

腹膜炎に併発した深在性真菌症に対して,ミカフアンギンが著効した1例を報告する。78歳の女性,特発性大腸壊死による汎発性腹膜炎で,虚血腸管の切除と人工肛門作製の緊急手術を行った。 手術後フロモキセフ,シプロフロキサシンおよびイミペネムを投与したが,弛張熱が持続した。 β-D-グルカン,CRPおよびWBCの上昇から深在性真菌症を疑い,ミカフアンギンの投与を行った。 投与量は50mgより開始し,投与後7日目にはcandida glabrataの消失が確認された。 さらにIOOmgの増量によりCandida albicansの消失が15日目に確認された。 21日目にはβ-D-グルカンの陰性化とCRPの下降を認め,術後65病日に無事退院した。 ミカフアンギンの投与による副作用は確認されなかった。