日本人clinically isolated syndrome患者に対するィンターフヱロンbeta-lbの臨床効果

摘要

インターフュロンbeta(IFNB).は.多発性硬化症(MS)の再発を予防するのみならず， MSの前駆段階であるclinically isolated syndrome (CIS)の状態からMSへの悪化を抑制する効果があると，欧米では報告されている。今回，われわれは9例の日本人CIS患者に対しIFNB-lb治療の早期導入について説明し，同意を得た5例のIFNB-lb治療群と4例の無治療群を約4.5年間経過観察した。その結果，5例のIFNB-lb治療群では経過中1例も臨床的再発はなく， 5例中4例はMRI病変の増加もなかった。一方，4例の無治療群では平均2.3 回の臨床的再発が認められ，平均3.8個のMRI病変の増加が見られ，全例がCISからMSへと悪化した。以上の結果から，欧米人のみならず日本人CIS患者に対しても，IFNB-lb治療の早期導入は有効であると推測された。なお，本論文は日本人ならびにァジァ人のCIS患者に対するIFNB-lb治療の効果を検討した初めての報告である。