本邦における間歇性跛行患者に対するサルポグレラートの歩行障害改善効果に関する検討- s-wIQ研究における合併症別でのWIQスコア改善効果-

摘要

本邦では国民生活の質が向上するとともに生活習慣が欧米化し,糖尿病,高血圧,脂質異常症などの動脈硬化のリスクファクターを有する患者が年々増加し,それに伴う動脈硬化性疾患の増加が問題となっている.また,高齢人口が急速に増大していることも疾患構造に大きな影響を与えていると考えられる.このような生活習慣の欧米化や高齢化社会の進行により,下肢の動脈硬化性疾患である閉塞性動脈硬化症(ASO : arteriosclerosisobliterans,またはPAD : peripheral arterialocclusive disease)患者は本邦においても増大している. PAD患者の主訴の多くが間歇性跛行である.間歇性跛行は,歩行を続けるうちに足に痛みやだるさなどの症状を感じて歩行を継続できなくなるが,少し休むとまた歩行可能となる病態を示し,身体機能やQOL(Quality of Life ;生活の質)の低下をもたらす.