酢酸リンゲル液を対照とした重炭酸リンゲル液の多施設共同無作為二重盲検比較試験－関腹手術予定患者を対象として－

摘要

アルカリ化剤として炭酸水素イオンおよびMg 1 m Eq/Lを配合した新しい重炭酸リンゲル液（BSQ）と酢酸リンゲル液（AR）を比較した。 比較試験は，11施設において，開腹手術予定の187例をBSQ群（n＝95）またはAR群（n＝92）の2群に分け，無作為二重盲検比較試験にて実施した。 輸液投与は，麻酔導入後に開始し，最初の1時間は15mL/kg/hr，次の1時間は10mL/kg/hr，その後手術終了まで5mL/kg/hrで持続投与した。 動脈血液ガス（pH，PaCO_2，PaO_2，HCO_3，およびBE）は輸液投与前，執刀直前，手術開始30分後，手術開始2時間後，手術終了時に測定した。 血清電解質（Na，K，Ca，MgおよびCl）および代謝系の血液生化学的検査（血糖，乳酸，ピルビン酸，アセト酢酸，3 ヒドロキシ酪酸，中性脂肪および遊離脂肪酸）は輸液投与前，手術開始2時間後，手術終了時および手術終了3日後に施行した。 血液凝固系の血液生化学的検査（PT，APTT）は，輸液投与前，手術終了時および手術終了3日後に施行した。 尿量は手術中記録し，尿中電解質排泄量（Na，K，Ca，MgおよびCl）は輸液投与前および手術終了時に測定した。