HIV感染者の高齢化による問題

摘要

1990年代半ば以降のART (antiretrovi-ral therapy)の進歩によりHIV感染者の予 後は劇的に改善された。2007年のDenmark Cohortでは25歳で感染した患者の平均予 後は40年を超えるとされたが，さらに最近 では比較的若年で感染し早期に治療開始する と非感染者と遜色のない予後が期待できると の報告もでている。当然のことながらこの 予後の改善によるHIV感染者の長期生存に 伴い，感染者の高齢化の問題がでてきてい る。米国においても2017年にはHIV感染者 の半数が50歳以上になるとの報告があり， 今後本邦においてもHIVをもったまま高齢 化していく感染者の増加が予測されている。 現在でち70歳代，80歳代の高齢HIV感染者 は珍しくない。