甲状腺扁平上皮癌が疑われた放射線誘発による原発不明癌頸部リンパ節転移の1例

摘要

患者：38歳，男性.1999年5月発症のホジキンリンパ腫で化学療法後，全頸部?縦隔に放射線照射歴あり. 2012年1月，嗄声?前頸部腫瘤を主訴に当科受診，当初甲状腺原発扁平上皮癌と診断し治療を行ったところ， 術後に原発不明癌頸部リンパ節転移の診断を得て，術後化学療法を行つたが不幸な転帰をたどつた.考察：放射線誘発癌は一次癌を治療後5年以上経過後に，照射野内で原発とことなる臓器から，病理組織 がー次癌と異なる癌が発生したものと定義される.本症例は放射線誘発癌と診断できる.結論：過去の照射野内に発生した腫瘍を診た際は，放射線誘発癌を念頭に置く必要がある.