遺伝性リンパ増殖性疾患

摘要

リンパ増殖性疾患（lymphoproliferative disorder, LPD)とはリンパ球が異常増殖する疾患であり，多クロ一 ン性で良性なものから単クローン性で悪性なものまで幅広い。宿主の免疫異常によって生じることが多く，免 疫不全関連LPDというカテゴリーが存在する。その中に原発性免疫不全症（primary immunodeficiency disease, PID)関連LPDが存在する。PIDは基本的には単一遺伝子変異によって発症する遺伝性疾患であり，PID 関連LPDは遺伝性LPDと言い換えられる。本稿では遺伝性LPDとして，IKZF1関連疾患ならびにEp-stein-Barrウィルス関連LPDとしてZAP70欠損症ならびに体細胞復帰変異を伴うX連鎖リンパ増殖症候群を取 り上げる。遺伝性LPDの病態を理解することによって，広く LPDの理解が深まり，新たな治療法の開発につ ながることが期待される。