抗ガングリ才シド抗体陽性の免疫介在性末梢神経障害を呈したびまh性大細胞型B細胞リンパ腫

摘要

症例は70歳，男性。2ヶ月前から自覚した右下腹部腫瘤の精査目的に入院した。入院初日より急速に増悪す る四肢の筋力低下を認め，神経伝導検査にて末梢神経の軸索損傷が指摘された。精査にて血清中に抗ガンダリ 才シド抗体を認め，腫瘤性病変はびまh性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断となり，悪性リンパ腫による免疫 介在性ニューロバチ一が疑われた。診断後直ちにR-CHOP療法を実施したところ，神経症状は経時的に軽快 し，最終的には筋力の完全な回復に至った。悪性リンパ腫はR-CHOP療法6コースで完全寛解に到達し，以後 悪性リンパ腫と神経障害共に再発は認められなかった。悪性リンパ腫による免疫介在性ニューロバチ一は稀で あり，本症例の経過および既報から，良好な神経学的転帰を迪るためには悪性リンパ腫の病勢コントロールが 重要である可能性が示唆された。