進行期多発性骨髄腫に対するサリドマイド療法の検討

摘要

2001年3月から2002年2月まで進行期多発性骨髄腫14例（58～85歳，年齢中央値71歳）にサリドマイド単独投与（200～400mg／day）を行った03カ月以上内服可能であった例を評価可能症例とし，最終的にPR2が2例，PR3が1例，Stableが2例，PDが3例，投与中止による判定不能が6例であった。 少量長期投与で効果を認めた例がある一方で早期に再燃し治療抵抗性を示した例もあり，抵抗例は未熟型骨髄腫細胞が再燃の主体であることが推測された。 副作用としては眠気，便秘などの神経症状が多かったが，対症的な加療で軽快し，高齢者にも投与可能と考えられた。 用量規定因子として好中球減少が重要であり，半数の7例がGrade3～4の血球減少を生じた。 なおG-CSFへの反応は良好であった。また経過中，関連は不明であるが2例に血栓症の合併を疑った。以上よりサリドマイド療法は，進行期多発性骨髄腫に対する有用な治療選択肢の一つとなると考えられた（臨床血液44（6）：368～374，2003）