細胞内情報伝達分子のin vivoイメージング：急性炎症における好中球のCOME/STOPシグナル

摘要

多数のケミカルメディエイターが炎症組職の好中球浸潤を制御している。個々のケミカルメディエイター が好中球に及ぼす影響については解析が進hでいるが，それらのケミカルメデイエイタ一が，総体として生体 内で協調的あるいは競合的に作用する機構はほとhどわかっていない。好中球が生体内でどのような動きをす るかを知るためには，細胞内情報伝達系の活性を生きた組織で可視化する必要がある。この目的のために，遺伝子にコードされるフェルスター共鳴移動（FRET)の原理に基づくバイオセンサ一を用いることができる。この総説においてはまずFRETバイオセンサ一について概説し，ついで，好中球内の情報伝達分子が血管外遊出 過程においてどのように制御されているかをFRETバイオセンサーを使って解析した結果について述べる。こ れに関連して，FRETバイオセンサーを発現するトランスジエニックマウスの開発と多光子顕微鏡を用いた生体イメージングについても言及する。