造血細胞移植における感染症治療のピットフオ一ル

摘要

造血幹細胞移植(Hematopoietic stem cell transplantation; HSCT)患者にとって，感染症は重大な合併症であ り，その適切なマネージメントがHSCT患者の生命予 後を左右する。同種HSCTにおける主な死因は再発， 移植片対宿主病（Graft-versus-Host Disease; GvHD)，感 染症，その他であるが，標準リスク白血病に対する HLA—致同胞からの同種HSCTにおいてさえ，1?5% が感染症で死亡し，全死因の約20%を感染性合併症が 占める。その背景には高度かつ遷延する免疫不全があ り，全身的な免疫機構である食細胞，補体，液性免疫， 細胞性細胞性免疫の全てに障害を生じ得る。