心臓内の腫瘤形成で発症したと思われるATL（リンパ腫型）

摘要

症例は50歳，男性。 平成13年3月より食後の心窩部痛が出現。 近医を受診しLDHが高値でありGa－シンチにて胸部正中に異常な取り込みを認めたため悪性リンパ腫を疑われ，当科に入院した。 入院時検査成績ではLDH，sIL－2Rが高値で，胸部MRIにてGd－DTPAによる造影で強い増強効果を呈する直径4cm大の腫瘤を右心房内に認めた。 当科入院時には右鼠径部のリンパ節が腫大しており，そこからのリンパ節生検およびHTLV－Iのクロナリティーの検索よりATLと診断した。 化学療法を行い，LDH，sIL-2Rの正常化とともに腫瘤も殆ど消失し， 1年以上良好に経過している。 ATLにおいて，進行期に心臓に浸潤することはけっして稀ではないと報告?されている。 しかし，病初期から心臓内に腫瘤を形成することは非常に稀であり，貴重な症例と思われたので報告する。